私たちが送ったパブコメ つづき

第6次男女共同参画基本計画(素案)へのパブコメ(意見募集)に、メンバーが送ったものの続きです。団体としてではなく、メンバーが個々に送っています。

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︎全体
目指すべき社会と社会情勢の現状、予想される環境変化について
現状認識が全体に浅薄で甘く、女性が今置かれている不平等で理不尽な状況に対する認識が不十分であると言わざるを得ません。「女性差別撤廃条例」選択議定書批准が出来ていないこと、同一労働同一賃金が実現していないこと、女性に対する性加害・性搾取はむしろ増加していること、選択的夫婦別姓すら実現出来ていないジェンダー後進国であることの反省が感じられず、男女共同参画の名の下で、共働きによる経済発展の一翼を担わせることばかりが透けて見える、男性が書いた文書ではないかと思わせる失望感に打ちひしがれる思いです。先ずは女性の人権が、せめて男性並みに保障される社会。女性の声が政治に届く社会。家父長的な考え方を改め両性が対等に、仕事も家事も、趣味や社会活動も分かち合いながら、お互いを高め合い成長し合える社会を目指したい。そのことを高らかに謳い上げ、そのために今すぐ何をするべきか、示して頂きたいです。それは性暴力の根絶であり、買春の罰則化であり、同一労働同一賃金の実現であり、選択的夫婦別姓の実現であるはずです。以上の文言が力強く表現されてこそ、男女共同参画機構法案を今制定する意味があるのではないでしょうか。

︎p.12の【基本認識】中、全ての人が希望する働き方を‥
所、働き方又は休み方として頂けないでしょうか?女性の人権が蔑ろにされていることの未解決を棚に上げて、何が何でも女性の労働力を当てにする浅ましさを感じ取ってしまいました。
p.14(2)具体的な取組⑤は、パンフレットやリーフレット等による制度の普及促進よりも、交代要員の確保と休暇中の賃金補償に予算を使うべきかと思います。働き易さと同時に保証すべきは、諸事情によって働けなくなった時に安心して休み、再度復帰出来るシステムと職場の雰囲気作りではないでしょうか。
同上⑥は、コンサルティングの実施ではなく、賃金補償のための助成や、いつ休んでも仕事が回る交代要員の確保ではないでしょうか

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︎イ: 男女共同参画機構としての取組の推進
①6行目から(また、〜11行目目指す)まで
「特定な場所や方法にとらわれない」「必要な機能を本館に集約」「老朽化した宿泊棟、研修棟を撤去」等の文言が、不自然に撤去ありきの方針の言い訳になっており、充分な議論も議会における審議も経ないまま、暴走したことにつき、説明不充分、決定のプロセスの不明瞭に納得が行きません。今からでも関係者、特に長年に渡りヌエックを利活用して来た団体、個人、法人等に対して、説明責任の履行を要求したいです。何故急な決断をしてまで宿泊棟、研修棟を撤去する必要があるのか、充分且つ詳細な説明をお願い致します。

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Ⅱ.男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備
第9分野 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備
3 官民連携による男女共同参画の推進
(2)具体的な取組
イ 男女共同参画機構としての取組の推進
公の眼が入ったPFI事業を利用し、現在の「ヌエック施設全体の一体的継続利用」が最も合理的で効果が見込めるはずだ。
また、
・ヌエックは地域における信用度が高く実績のある雇用先
・男女共同参画の地域女性雇用のモデルケースとしてナショナルセンターのヌエックでの雇用を活かす仕組みは全国への波及効果が見込める
・ヌエックには宿泊棟・国際会議場を含む研修棟・茶室・体育施設・庭園・図書館・レストランなどの多様な職場があり、女性や障害者雇用の可能性、女性登用の実践の場としても多様な職場・職域の開発の可能性がある
地方創生の視点から再度確認し、国際的な利用実績やグローバルスタンダードに合致する施設全体の評価と再利用の方法を探ることが重要である。

ヌエック開設に至る先人の緻密な計画の資料はヌエックに保管されている。現在の素案には開設時の建設的な女性たちの社会参加への基盤整備の原点が失われ、みすみす国民の財産としてのナショナルセンターの施設を失うことは、男女共同参画機構としての取組の推進の意義も揺らぐ。
女性を取り巻く経済格差を考慮すれば、ヌエックの優れた公的施設が低廉な負担で利用できる価値は大きい。
また、「独立行政法人国立女性教育会館の機能強化による男女共同参画の中核的組 織の整備に向けて(令和6年7月 30 日)」に基づき」とあるが、この決定過程の詳細は国民の前に不明瞭であり、根拠とするには地元議員からも有識者からも疑義が指摘されている。
「特定の場所や方法にとらわれない」ことは「多様な事業を展開する」ことにはつながらない。
「老朽化した宿泊棟、研修棟等」とあるが、計画的に予算が執行され、時代の要請に合致した長寿命化のモデルケースともいえるメンテナンスで施設は良好な状態を維持し、利益優先の民間施設とは一線を画す優れた施設であることは海外からの評価も高い。「撤去すべく、速や かな関連工事への着手を目指す」ことは凍結し、現存するヌエックの施設全体をいかに活かすかを再考すべきである。
日本で技術開発され実績もあるリファイニング工法を利用した上で存続を図ることこそ、経済的合理性があり、ジェンダー平等推進・女性差別撤廃につながるものになる。

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「第1部 基本的な方針」 全体 p. 1
「独立行政法人男女参画機構法、参議院内閣委員会で採択された附帯決議中、「一」における男女共同参画政策推進にあたって、「女子差別撤廃条約にのっとり」との文言の主旨に鑑み、国連、女性差別撤廃条約、日本第9回報告書に対する女性差別撤廃委員会、「第9回報告に対する女性差別撤廃委員会最終見解」のうちの以下3件について、すなわち、9、女性差別撤廃条約選択議定書の締結、19、ジェンダー平等政策に特化した独立した省庁の設置、21、国内人権機構の設置について、直接の言及がないにしても、それぞれに対応する政策を明示するべきである。」

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「第1部 基本的な方針」 全体 p. 1
「個人の尊厳が尊重される社会の実現において、マイノリティの個人としての尊厳が侵害される要因となっている社会的慣習、社会的慣行こそ、自明なもの、「自然なもの」と無批判的に受け入れる態度に陥ることなく、標準化していることの問題を明らかにして、その非標準化を、個人尊厳原理を守る予防的政策として検討して行くことが必要ではないか。家計にせよ、婚姻にせよ、姓にせよ、制度として、個人の尊厳が侵害され、強制される実態がないか、事実を隠蔽せず放置しないようにする必要がある。個人の尊厳が尊重される限りは、これまでの慣習も選択肢のひとつとして改めて位置づけなおし、一部の少数者を犠牲にすることなく、だれもがその尊厳を尊重される方向が、だれにとっても、また社会全体にとっても望ましいことを実感できるようにすることが求められる。そのためには、個人尊厳原理という原理を明確にした上で、制度選択の意志決定にだれもが参加できる民主主義的フォーラムを準備して行く姿勢がしめされていなければならないのではないか。」

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「第2部 I 第2分野 あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画拡大」 「5 学術分野」 p. 31 「(1)施策の基本的方向」について、学術の大前提となる学者の基本的な使命が、明示されていない。その使命とは、日本国憲法第23条で保障されている学問の自由の意義が示す通り、学問に関わる人間は、学問の自由を憲法に先立つ普遍的価値として、その現実的社会的内実に責任を持っているということである。具体的には、学者は、ただ自己の専門領域において探求することがすべてではない。学者は、学問の自由を国家存立に先立つ普遍的な価値として、その重要性を常に明確にし、学問の現場で実践することが求められているということである。現代世界では、科学者がその学術的探求において、その社会的費用を国家財政や企業に負うところから、時の政権や企業の意向によって直接間接に介入される実態が起きている。これは学問の営みが、人類の福祉ではなく、一部の人間の利益に従属するものとなっていることを意味する。こうした事態は、学術の世界に身を置く者その人の心性を腐食している。現代学術のこうした社会的構造そのものを批判的に捉え直すことが学者の中に失われると、学問の本来的な機能としての自由な探求を奪い、学問を私的利益に従属させ、結果として学問自体の衰退を招くことになる。それゆえに、男女共同参画政策といえども、学術分野の政策の基本的方向においては、日本国憲法の謳う「学問の自由」の意義に沿って、学問そのものの使命を改めて明確にしておく必要がある。また、なぜ日本の学術分野がジェンダー平等から程遠いかという課題は、その背後に、学問の自由を歪める国家的学術政策に心性において自ら加担して、真を語ることのない「学者」が創成されて来ている日本的社会体制をも示唆しているのではないか。」