「機能強化」なのに閉館?!彦根市男女共同参画センターウィズ問題


 現在、滋賀県彦根市の男女共同参画センター「ウィズ」は閉館の危機に直面しています。県民による反対の声があり、全国女性会館協議会も10月31日に要請文を提出していますが、その効力が表れるかは不透明です(『中日新聞』(2025年11月19日)朝刊 びわこ版)。

 私たちリ・ヌエックはこれを、独立行政法人男女共同参画機構法(機構法)を通じた政府の男女共同参画政策、いわゆる「機能強化」の実効性が具体的に問われる事態ととらえています。

 2025年1月10日、機構法を検討する第74回男女共同参画会議で、全国女性会館協議会代表理事である納米恵美子委員は、ヌエック施設廃止につながる法案提出を歓迎しつつも、機構を「施設設置型法人とせず」という条件が、ヌエック以外の全国の男女共同参画センターに及ばないよう求めています(同会議資料4、「3 新法人及び男女共同参画センターの人員体制と予算について」)。しかし、ナショナルセンターであるヌエックの施設を不要とする同法が成立すれば、それが全国の男女共同参画センターの存続に影響することは容易く想像がついたのではないでしょうか。

 この懸念は、国会での質疑でも取り上げられています。れいわ新選組上村英明衆議院議員(6月11日内閣委員会および12日本会議)、立憲民主党の木戸口英司議員(19日参議院内閣委員会)ですが、いずれにも内閣府からは明確な回答はありませんでした。

 彦根市のウィズ閉館問題は、機構法の成立に関与した人々の自己矛盾を露呈しています。ヌエック施設廃止につながる法律を歓迎しておきながら、地域のセンターの存続が危機に瀕したときに、口をぬぐって存続を求める意思を表明しても間に合いません。センターの利用者やそこで働く人々(多くは女性です)に対して、取り返しのつかないことをしていることを自覚してほしいものです。