国の政策を決定する過程は、公開された公正な国民的議論に基づく、民主的に決定されたものだと信じたいものです。残念ながら、ヌエック「機能強化」政策はそうではありません。
国会で多数派となる政党が内閣を形成して閣議決定で物事を進め、年度末の次年度当初予算の時にだけ、採決結果の判明している中で、形式的に空疎な質疑をして済ませるという政策決定方式です。決定過程に十分な国会審議、幅広い国民の意志を取り入れることなく、官僚の下書きをなぞり、有識者の間で議論がされているかのように見せかける政治手法が問われているのではないでしょうか。
「国立女性教育会館(ヌエック)「機能強化」を国の方針とする「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針2022)」原案を承認した2022年5月27日の男女共同参画会議のメンバー※を調べてみましょう。議員、出席者には、議長はじめ、いわゆる「裏金」疑惑、また旧統一協会に関係した疑惑のある政治家が複数含まれています。また議員である専門委員(学識経験者)について、任命権者である、当時の岸田文雄首相には、関係政治団体による政治資金収支報告書不記載があることが報道されています。
ほかの政策決定含めて、このような政治的決定手続きは正統というには大きな疑念があるものです。不正な手続きでなされた決定は結果を正統化することができると言えるでしょうか。やり直すべきではありませんか。
※2022年5月27日の男女共同参画会議のメンバー
男女共同参画局(2022年5月27日)「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針2022)(原案)」を承認
https://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/siryo/pdf/ka67-s-2.pdf
① 有識者委員任命権者、岸田首相の任命権の正統性
決定主体、男女共同参画会議の専門委員(学識経験者)任命権者は首相である(男女共同参画会議令(2000年)第1条2)。
2021年から2024年まで首相は岸田文雄である。
原案を検討した2023年5月27日、男女共同参画会議、有識者委員の任命権者は岸田文雄首相である。
国立女性教育会館「機能強化」政策WG、有識者委員の任命権者は岸田文雄首相である。
岸田首相には関係政治団体による政治資金収支報告書不記載がある(『朝日新聞』(2024年12月2日))。
② 男女共同参画会議の議員、出席者は、正統な権限者か。
国立女性教育会館「機能強化」政策を国の方針とする「女性版骨太の方針2022」を決定した男女共同参画会議(2022年5月27日)、男女共同参画会議委員のうち大臣、副大臣のうち、いわゆる「裏金」疑惑のある政治家は以下の通り。
議長 松野博一 内閣官房長官 (「裏金」疑惑議員:1051万円)
議員 金子恭之 総務大臣 (代理 田畑裕明 総務副大臣 (「裏金」疑惑議員:68万円))
議員 古川禎久 法務大臣 (代理 津島淳 法務副大臣)
議員 林芳正 外務大臣 (代理 小田原潔 外務副大臣 (「裏金」疑惑議員:1240万円)
議員 鈴木俊一 財務大臣 (代理 大家敏志 財務副大臣)
議員 末松信介 文科大臣(「裏金」疑惑議員:584万円)
議員 金子原二郎 農林水産大臣 (代理 武部 新 農林水産副大臣)
議員 山口 壯 環境大臣
議員 二之湯智 国家公安委員会委員長・防災担当大臣
議員 野田聖子 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
また出席者のうち、いわゆる「裏金」疑惑のある議員は以下の通り。
森まさこ 内閣総理大臣補佐官(「裏金」疑惑議員:282万円)
礒崎仁彦 内閣官房副長官
栗生俊一 内閣官房副長官
富樫博之 復興副大臣
深澤陽一 厚生労働大臣政務官
吉川ゆうみ 経済産業大臣政務官(「裏金」疑惑議員:240万円)
加藤鮎子 国土交通大臣政務官
山田太郎 デジタル大臣政務官
岩本剛人 防衛大臣政務官
なお旧統一協会との関係が疑われる議員は以下の通り。
小田原潔 外務副大臣
吉川ゆうみ 経済産業大臣政務官