行政は、高度経済成長の時期に建設された社会教育施設の「老朽化」が進んでいると発信しています。国立女性教育会館の宿泊棟、研修棟ほかも「老朽化」しているのですから、「撤去」するのはしかたがないという説明がなされています。
しかし、現在の施設を「撤去」して新たに建て直し、ナショナルセンターを存続するというなら、条件によっては、利用者に受け入れられるかもしれません。しかし、建て替えと改修の比較検討を十分していないうちに、「機能強化」という曖昧な言葉のもとに施設をなくしてしまうというやりかたはおかしくないでしょうか。これで本当に利用者が享受してきた「生きた経験」がこれからも続く保障があるでしょうか。
ヌエックの建物は1977年築ですから、確かに、今年で48年となります。しかし、専門家の一般的な意見としても、この程度の築年数の建物を安易に建て替えるのはSDGs反するという見解もあります。「建物の躯体を残したまま必要な補強・更新を加えることで、建て替える場合と比較してCO2排出量が1/5~1/6、建設費用も7割程度に抑えることが可能」、「技術的・経済的な理由で建替えるしかないという場合を除いて、縮小する日本では在るものを使い続けることが求められている」という考えもあるのです。