国立女性教育会館「機能強化」政策の土台は「新しい資本主義」です。それは「稼げる国」をめざすもので、男女共同参画政策の目標も「稼げる女性」を増やすことになります。それは一見、経済的に自律できる女性が増える、良い目標のように思われます。
しかし、「新しい資本主義」下の政策を通じて、日本社会で生きている人々の間に分断が生まれています。地元住民の中に、多様なジェンダーの中に、そしてなによりも、女性たちの中に分断を作り出すような政策が、ジェンダー平等を推進できるでしょうか。
「稼げる国」で稼ぐことすらできなかった社会、家事、育児、介護、自分の休息すら得られない、そのようなジェンダー不平等における不公正な労働の社会的配置を是正してから、議論を始めるべきだったのではないでしょうか。昨年、ジュネーブで、女性差別撤廃委員会(CEDAW)※において審査された日本の第9回報告書に対する国連の総括所見における勧告を実施できてから、はじめて、女性の社会教育のあるべき方向付けは議論することを始められるのではないでしょうか。
※女性差別撤廃委員会(CEDAW)勧告